すぎい小児科クリニック(東京都八王子市大和田町)

小児科、アレルギー科
小児一般・アレルギー疾患
乳児健診・予防接種
すぎい小児科クリニック
東京都八王子市大和田町5-10-2
SYOJIビル1階
電話番号:042-634-1975

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喘息のお子さんが宿泊行事へ参加する際の注意点

キャンプファイアーや、花火をする時は、煙を吸い込まないよう、マスクを着用し、煙を吸い込まないような場所を確保すると良いので、担任の先生にあらかじめお願いしておくと良いです。

宿泊行事では、急性増悪(発作)が起きないよう、長期管理薬を一時的にステップアップしたり、追加治療を検討したりします。喘息のお子さんは、宿泊行事の前に受診し、ご相談ください。


禁煙のコツ(お子様の喘息増悪を防ぐために禁煙を決意しても、なかなか難しいという方へ)

ライター、タバコ、灰皿を処分する。
1本が命取りなので、「禁煙しているので、落ち着くまで自分の前で吸わないで欲しい。」と周囲に伝えて協力してもらう。
喫煙者に近づかない。
お酒の席でもタバコを吸わない自信が出てくるまでなるべく外に飲みにいかない。
飲み会ではタバコを吸わない人の隣に座る。
飲み過ぎると喫煙するので氷の水をちびちび飲んで乗り切る。
吸いたくなったら家族など援助者に電話する。
イライラしたら深呼吸、水、お茶を飲む。楽しい情景を思い浮かべる。
昆布、するめ、シュガーレスガムなどを噛む。
歯を磨く、軽い体操、顔を洗う、ぬるま湯の風呂に入る。

禁煙すると、ご本人の心筋梗塞の危険が1年以内で半分になります。
2~3日をピークに喫煙欲求は減ります(が続きます)。
4週間経つ頃には、咳痰が止まる、肌の調子が良い、小遣いが減らない、などメリットが自覚されるようになります。
食事が美味しく感じられるようになるので(平均3kg)体重が増えますが、禁煙の方が健康への効果が高いので、体重コントロールは禁煙が安定する1ヶ月以降で良いです。
直後に必要な場合は、(日常での)運動(強度)を上げ、時間をかけてゆっくり食べると良いです。10週間以上食欲亢進は続きます。

1回目の禁煙で成功する人は3割程度です。
がっかりしないで、タバコを吸ってしまう状況への対策をたて、再チャレンジしてください。


便秘を治すうえで知っておいて欲しいこと

排便を我慢すると便が直腸に留まります。直腸は水分を吸収する場所なので、便が硬くなります。1歳半を超えると、排便を我慢できるようになります。硬い便を出す時痛みを感じると、排便を我慢するようになり、便秘の悪循環が始まります。重要なことは、排便を我慢しなくて済む生活習慣を作ることです。

そのために、便秘薬を飲んで便を軟らかく保ち、(外出先で排便を我慢しなくて済むよう)家で1日1回決まった時刻に排便します。結腸運動は起床後2時間位で活発になることと、胃結腸反射を利用して、朝食後30分以内にトイレに5~10分座ります(保育園児は夕食後が現実的と思われます)。排便はオムツというお子さんは、好きな場所でオムツで良いです。我慢しなくて済む生活習慣を優先してください。

1歳半以上の便秘は放置しないことが重要です。直腸内に巨大便塊ができてしまうと、全身麻酔で掻き出すことになりその時大変なだけでなく、直腸が伸びて反応が鈍くなるため、その後も毎日浣腸等治療が大変になりご家族の負担も増します。


嘔吐時の水分の摂り方

嘔吐時に摂る水分はOS1などのスポーツドリンクが、電解質と糖分が入っているのでおすすめです。嘔吐後2時間以内は、飲んだ刺激で嘔吐しやすいので、最後に嘔吐した時刻から2時間待って飲水を開始します。1回量が多いと吐くので、ティースプーン1杯(約5ml)を5分毎に摂ります。2〜4時間繰り返し、その後ティースプーン2杯(約10ml)に増やして5分毎に飲水を2〜4時間繰り返します。その後は量を増やして飲水します。

食べ物は12時間避けます。飲んでも吐かないことが確認できてから、食事は消化の良いお粥などから開始します。胃が痛くなったり、下痢しやすくなるので脂っこいものは避けます。


親子で深呼吸

深呼吸は、気持ちを落ち着かせ、精神の安定に良いとされています。
チックの方に深呼吸がおすすめです。

方法は、しっかり口を閉じ、鼻からゆっくり息を吸う(3〜5秒)そのまま息を止めて(2秒)、ゆっくり息を吐く(10秒くらい)。これを、できれば2分間。1日3回、親子で行ってください。

余談ですが、自分の脈拍を指で触れながらやると、息を吐く時、脈がゆっくりになることを感じることができます。お試しください。


講演会のお知らせ

ラッシュガード

保育園のプールに入って良いか、と、質問されます。
とびひは、治るまで禁止です。
水いぼは、浮き輪やビート板、タオルを共有すると感染します。禁止する保育園が多いようです。
ラッシュガードで覆うのも一つの方法です。

▶ 皮膚の学校感染症について


子どもが使うのに適したサンスクリーン剤

集団生活で用いるのに適したサンスクリーン剤は以下の条件を満たすものが推奨されます。 

①「SPF 15 以上」、「PA ++ ~ +++」を目安
 普通の生活においては、むやみに SPF の値の高いものを使う必要はありません。

②「無香料」および「無着色」の表示があるもの

③プールでは「耐水性」または「ウォータープルーフ」の表示があるもの

紫外線に短時間当っただけで真っ赤になっても色黒(色素沈着)にならない皮膚のタイプを持つお子さんの場合、紫外線対策は特に大切です。ただし、紫外線は必ずしも怖いものではありません。 過剰な紫外線防御はビタミンDの活性化を妨げ、くる病になることがあります。紫外線は、1日のうちでは早朝や夕方は非常に弱く、10時から14時の間が強くなります。屋外活動はなるべく紫外線の弱い時間帯に行い、 強い時間帯には紫外線対策をきちんと行いましょう。

http://jspd.umin.jp/qa/03_uv.html


ネット依存は予防が大事

ご両親のネット時間が平日2時間以上、家庭でルールを決めていない、お子様のスクリーンタイムが2時間以上の場合は、ネット依存症のリスクが高くなります。

小中学生のスクリーンタイムは1時間以内、など、ご家庭でルールを決めて、お子様を守る必要があります。


連休明けは、新生活の疲れが出る頃です。

日本小児保健協会から、以下のポイントが示されています。

《保護者や支援者が心がけてほしいこと》
子ども一人ひとりと過ごす時間を確保しましょう。
子どもの言葉をまずは批判なしに聞きましょう。子どもと生活のルールについて話し合いましょう。
よくがんばったこと、よくできたことをほめましょう。
子どもが、時には「弱音を吐いてもいいんだ。」と思えるような環境を整えましょう。

これを実行するために、まず、保護者や支援者が、ご自分を大事にしましょう。
ご自分を褒めましょう。たまには、ご自分が、弱音を吐いて良いのですよ。


抗原検査について

RSウイルス抗原検査の感度は40~75%と低いので、検査陰性でも、RS感染症ではない、とは言えません。

アデノウイルス抗原検査の感度は70%と低いので、検査が陰性でも、症状が典型的な場合はアデノウイルス感染症と診断されます。

溶連菌抗原検査は、治療を要しない保菌者が10%存在するため、典型的な症状の場合以外検査を推奨されていません。

時々爆発的に感染者が増えるせいか、これらの検査キットが不足する時があるため、申し訳ありませんが本当に必要な方以外、検査をお断りすることがあります。


インフルエンザ

インフルエンザは、発症後すぐに抗原検査しても陽性になりにくく、「38度以上の発熱から12時間経過」が抗原検査陽性になる目安です。

なお、抗インフルエンザ薬は発症後48時間以内に開始する必要があります。

つまり、検査するおすすめのタイミングは、発症後12~48時間になります。


呼吸数

呼吸数は、1分間に何回呼吸するか回数を数えます。

喘息や肺炎の重症度の指標になります。

泣いていない時に測定するのが良いです。


中耳炎罹患後の中耳滲出液残存期間

中耳炎罹患後の中耳滲出液残存期間は、
2週間 70%
1ヶ月 40%
3ヶ月 5〜10%
です。
中耳炎が治ったら、遅くても3ヶ月後には鼓膜を見てもらうと良いです


無理なダイエット

若い女性が無理なダイエットをして痩せてしまうと、高齢になって骨粗鬆症になりやすいと言われています。

小学生中学生は、毎年体重が増えるのが正常です。

学校の体重測定で毎年同じ体重の場合は、成長により増えるべき体重が増えていないと考えた方が良いです。


離乳食に関する悩みと対処法

おかゆを嫌がる:ミキサーで粒がなくなるまですり潰す、野菜やかぼちゃから始める

乳を先に欲しがる:しばらく授乳を先にしてみる

口から出す:初めて口にするものは確認する。そのうち慣れる

飲み込めない:とろみのもとを使う

味が苦手:出汁を利用する。

急に食べなくなった:4,5日授乳のみにして、ゆっくり楽しい声かけをしてみる

量を食べない:ひとさじ量を少量にする


離乳食今昔

昔はビタミンCを補うために果汁を飲ませていましたが、今は粉ミルクが改良されたので、果汁を飲ませる必要はなくなりました。

果汁の浸透圧は母乳の2〜3倍なので、浸透圧で便がゆるくなります。


ロタウイルスワクチン

ロタウイルスワクチン投与後は、7日間便に排泄されます。(特に初回投与後)

双子の症例対照研究ではロタワクチン投与後に双子への水平感染はなかったので、過度に心配する必要はないのですが、おむつを替えた後は、石鹸と流水でよく手を洗いましょう。赤ちゃんのお世話をする方が免疫抑制状態の場合は、4週間程度、他の方におむつ交換を頼むと良いでしょう。


早寝早起き朝ごはん

睡眠は記憶の整理や定着と関連し、成長ホルモンは夜間睡眠中に分泌されるため、子供は早寝をして充分睡眠をとる必要があります。

人間の体内時計は25時間で刻まれているため、24時間周期を保つには生活リズムを整えなければなりません。望ましい生活の条件は、

1. 朝の光を浴びること
2. 昼間に活動すること
3. 夜は暗いところで休むこと
4. 規則的な食事をとること
5. 規則的に排泄すること
6. 眠りを阻害する嗜好品(カフェイン等)と過剰なメディア接触を避けること
7. 入眠儀式(眠る前のルーチン)です。

なかなか寝付けない場合に利用できそうな人間の性質は、体温が下がる時に眠気が増すことです。一般に、入浴後30分〜1時間後に体温が下がります。冬は、湯たんぽで布団を温めると体表面の血管が開き(手足はポカポカ暖かくなりますが、)深部体温が下がるため眠気を感じます(電気毛布を使う場合は布団に入る頃には消す必要があります)。

ところで、日本の小学生の平均睡眠時間は推奨される標準睡眠時間より短いことをご存知でしょうか?「みんなが起きてるから」と就寝時刻を周りに合わせると睡眠不足になってしまうので要注意です。また、夜更かしは睡眠不足だけでなく、(ブルーライトなどの)光を夜浴びることにより生体時計の周期が延長するため二次的に起床時刻が遅れ、悪循環になります。

朝カーテンを開け、夜はテレビを消しスマホやパソコン、ゲーム等をしない、入眠儀式(入浴後、絵本を読んで、電気を消して、寝る等一定のパターンを保つ)など、小学生くらいまでは、家族の協力が望ましいと言えます。


ネット依存症

生活リズムの乱れの一因として夜ブルーライトを浴びることが指摘されています。本来なら日中に太陽光に含まれるブルーライト(紫外線の次に波長が短い強いエネルギーを持つ光)を浴び、日没後にはブルーライトの量が減少することで、体内のメラトニン分泌が盛んになり眠る状態が作られます。テレビやスマホのLEDディスプレイの光量は太陽光に比べて少ないものの、分光曲線はブルーライトにピークがあります。そのため、夜遅くまでスマホなどを見る(→スマホのブルーライトが体内のメラトニン分泌を抑制する)ことで体内時計が乱れ、寝つきが悪くなる、眠りが浅くなるなどの悪影響が危惧されています。

ネット依存症は、日本の中高生の約8%がその可能性があると2013年に厚労省研究班が報告して話題になりました。女児で年齢が高いほどリスクが高いと報告されています。「ネット依存症になってからの治療は厳しい現実がある。予防が大切。治療可能な専門施設は限られている。」と専門家は訴えています。関連学会からの提言は<表1>の通りです。なお、ネット依存症スクリーニングテスト<表2>の8項目中5項目以上満たす場合ネット依存症の疑いがあります。

ICTは便利ですが、弊害もあります。スマホやゲームに関して各ご家庭でルールを決める(または見直す)ときの参考になれば幸いです。


表1

1) スマホなどの管理者は保護者であることを子どもに明確に伝えましょう。

2) 保護者はスマホなどが子供に及ぼす影響について学習しましょう。

3) スマホなどの適切な使い方を親子で話し合いルールを決めましょう。

4) 保護者は子供に貸与したスマホ等の利用状況を折に触れて確認しましょう。

5) 子供が決められたルールを守れない場合には一旦没収し、改めて話し合いましょう。

表2

Q1. インターネットに夢中になっていると感じるか

Q2. 満足を得るために、ネットを使う時間を長くして行かなければならないと感じるか

Q3. 使用時間を減らしたり、止めようとしたりしたが、うまく行かなかったことが度々あったか

Q4. ネットの使用をやめようとした時、落ち込みやイライラなどを感じるか

Q5. 意図したよりも、長時間オンラインの状態でいるか

Q6. ネットのため、大切な人間関係、学校、部活のことを危うくしたことがあったか

Q7. 熱中しすぎていることを隠すため、家族や先生に嘘をついたことがあるか

Q8. 嫌な気持ちや不安、落ち込みから逃げるためにネットを使うか

*8項目中5項目以上がネット依存症の疑い


ICTと眼

ICT(スマートフォンやタブレット端末)の弊害について、眼への影響、生活リズムの乱れ、ネット依存症などが学会で話題になっています。

眼への影響として、近視と眼球運動の発達への影響が心配されています。近視は遺伝的要素が強いものの、最近は環境的要因が問題になっています。30cm以内に近づいての作業と30分以上連続しての近業で近視の頻度が高まり、逆に屋外での活動は近視進行を遅らせるというデータがあります。眼球運動は、振り子のようなゆっくりとした動きのものを追いかける眼球運動と、ふたつのものを素早く見比べる時のような眼球運動があります。これらは(体全体を使う)運動とともに発達していきます。眼球運動が発達しないと、文字を読む時、行を飛ばしたり、黒板の文字を書き写す際にどこを写しているのか分からなくなります。ゲームやスマホは作業距離が近く、運動が行われず、眼球運動は画面の大きさのみで、調節(ピント合わせ)も画面に固定されてしまうため、近視の進行を進める可能性だけでなく、眼球運動の発達への悪影響が心配されるため、「画面と眼の距離は(30~)50cm以上、1日に見る時間は30(~50)分以内」が望ましいという提言が出されています。

ICTは便利ですが、弊害もあります。スマホやゲームに関して各ご家庭でルールを決める(または見直す)ときの参考してください。